人文・社会

いつか ある日

いつか ある日

穂苅 正臣 著

価格 1,800円(本体価格)+税 
ISBN 978-4-904979-34-1
発売日 2022/7
ページ数 328ページ
版型 四六判 ハードカバー
Amazonでこの本を買う

概要

本書は自叙伝であるが、それとともに
すでに亡くなられた多くの先輩たちや友人たちへの追悼録でもある。

 第一エッセイ集「わが「医」を得たり」では、“よど号ハイジャック"と“ダッカハイジャック"という二度のハイジャックに、著者が期せずして遭遇したという体験記が読み物の中心だった。日本が関係するたった2度のハイジャックに2回とも巻き込まれ、特にダッカハイジャックでは134時間にわたって機内で犯人と生活? を共にするという体験をしている。その時の著者の行動には、医師としての矜持とともに、人間としてのやさしさがあふれていた。
 そして第二作。本書では、著者のふるさとである糸魚川のことや、慈恵医大の医局時代、日本航空の勤務医、数々の旅行のことなどが、綺羅星の如く散りばめられている。そしてそこには、昭和という時代の色彩と空気が色濃く漂っており、まさに時代を映し出す鏡としての役割も果たしている。
 ところで本書のタイトルとなっている「いつかある日」というのは、当時の“山男"たちが、そして著者が“歌声喫茶"でよく唄った歌のタイトルだが、そのタイトルを巡っても時代を反映したドラマがあり、そのことも本書で語られている。そのドラマは、きっと今の時代にはそぐわない些末なことかもしれないが、著者を含めて周囲の人たちは極めて必死なのだ。そしてそれが、“時代"というものを表徴しているのかもしれない。ただし、それはノスタルジーであってはならない、ということから“いつかある日"なのである。 著者は1934(昭和9)年生まれということで、御年88歳になる。したがい、本書は自叙伝であるが、それとともにすでに亡くなられた多くの先輩たちや友人たちへの追悼録でもある。

穂苅正臣 プロフィール

昭和9(1934)年、新潟県糸魚川で生まれる。昭和29年慈恵会医科大学卒業後、慈恵医大の内科で医局生活。昭和48年から日本航空の勤務医を60歳定年まで勤め、その後、三菱養和会スポーツクラブに勤務。平成25年からアムス丸の内パレスビルクリニック院長、平成30年に引退し、現在は友人の病院で月2回診察勤務。ゴルフ、麻雀、車の運転は今でも欠かさず。

目次

まえがき
まわりの女性
歌と青春(田舎と東京)
ラクダの下着─よど号事件
アメリカ青年と「もったいない」
四人の男のオムニバス
味のこだわり
イグアナとの出会い
ライト・浮世絵・明治村
赤い帽子
野尻湖・そして人生の達人
萩・津和野と心に残る人
うさぎとライオン
柿の木のオブジェ
塩の道とかたくりの花
二十二世紀研究会
ソウルの先生
ブルゴーニュにて
昔のひとは偉かった
モンローの写真
かぐや姫を懐かしむ話
「こけこっ考」の彼
そして「いつかある日」に
八王子車人形と新内の師匠
ダッカハイジャック事件と仲間達
キーちゃんからの年賀状
桜 旅日記
遠い昔の「うたごえ喫茶」で
旧羽田整備地区診療所
けんか祭りと桜
雪の中で枝垂れ桜の花が咲く
谷村美術館と谷村繁雄
山姥(やまんば)と上路(あげろ)越え
相澤玄白と糸魚川
自然の中に生きる女性
ジオパークと糸魚川市
健康長寿の長野県
葉山の友人
物がなかった時代
ある日本航空パイロットの体験(羽田沖事故)
ジャズの集い
パタゴニアの旅
塩造りの町
感動を与えてくれた歌
いまは懐かしくなった運動の奨め
最近、同級会で感じたこと
山と石とササユリの花
他人に対する心のやさしさ─京都の旅
長寿者の生き方
遊び仲間の航空人生